一緒に生きて経験すること
少しちゃんと休もうと思って、以前から興味があった映画「グリーン・ブック」を見ました。
ロードムービーなのですが、運転手のイタリア系の白人と、彼を雇った音楽家の黒人が、衝突しながらも理解し合い、次第に心を通わせて、支え合う友情を培う様子が描かれています。
NYのカーネギーホールの上の豪奢な「城」に住む気取った芸術家で、博士号まで持つドン・シャーリーが、北部を出て偏見に満ちた南部に入ってからは、そこここで陰湿な差別を受ける、それも当然のように。
貧しいブロンクスのイタリア移民の家に生まれた運転手のトニーも、もともとは、黒人への偏見を持っていたにも関わらず、あからさまな差別を受けて傷つく人の側で行動するようになると、その差別の残酷さと受ける痛みを思い知るようになります。
肌の色での差別だけでなく、傍から見ただけでは窺い知ることのできなかったドンの深い孤独と痛みに触れることで、トニーの中に、彼への理解と愛が育つのです。
いつも思っていることですが、傍目からは人がどのように見えたとしても、それは本当のその人ではないです。
本当のことは、その人の人生を、生まれた瞬間から生きてみなければ、決してわからない、つまり、その人自身でなければわからない筈です。
少なくとも、本当にその人の側に立ち、その人の心が経験している事や時間を共有していなければ、片鱗も理解できていないと思った方が良いでしょう。
クライアントとして来られる方々が、一見何の苦労も無さそうに見えるのに、その奥底に耐え難い痛みを抱えていて、だからセッションにいらっしゃる訳ですが、この傍から見える人はその人じゃない、という真実は身に染みて知っていました。
「相手の靴を履く」という、「相手の立場に立って理解する」という意味の英語の表現がありますが、実際に相手のすぐ横に立って、一緒にその心の痛みを生きることで、深い理解と共感に到達するという、稀有な人生の贈り物を描いたのが、この映画なのかもしれません。
ただ楽しい時間を共有するだけでは決して浮上することのなかった、ドンの深い真実や痛みが、時々訪れる危機的状況を通して噴き出してしまう、それを受け止めるトニーの本物の優しさにも感服。
ほんとに素晴らしい☆
ほんとに羨ましい☆
良い映画でした。
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