故郷の御山
何十年ぶりかで母方の先祖の地を踏んで、懐かしさよりも、もっと濃いものを感じたのは予想外で、驚きでした。
幼い頃、夏休みのたびに母に連れられ、祖父母の家に随分長くお世話になっていました。
大勢の従兄姉弟たちと、日がな一日炎天下で遊び呆けた後、虚弱な私だけ熱中症になり(--;)、天井の高い奥座敷に布団を敷いてもらって寝ていたり…、一番年長の従兄が作ってくれた井戸水!で冷やしたインスタントラーメンを分け合ったり…、夜になれば小さな村の小さな盆踊りに行くのに、祖父が全員分用意してくれた花の絵のついた提灯を下げて繰り出し、ぼんぼりを壊してしまった子が泣いていたことなど。。。
鬱々とした子供時代の、例外的な楽しい記憶です。
いつだったか、まだ時たま母の実家や親戚を訪ねたりしていた頃、私の肉体は浅間山と同じ土でできている、としみじみ思ったことがありました。
海外と行き来するようになり、飛行機から、曇っていても必ず見える富士山が故郷の象徴のようになってから、またここ十年ほどは、自宅からも富士山が見えるせいか、浅間山への愛着が薄れていましたが、駅に降り立ち、白く雪を被った優美な姿を目にして、故郷の山という感じが強く来ました。
さらに土地の匂いというか、独特のエネルギーのようなものに包まれると、なんとも言えず不思議な、自分が透明になって土地の空気と混じり合うような、しっくりとした感じに包まれました。
魂の故郷は空の彼方でも、この肉体が故郷と感じるのは、間違いなくここ、そんな気がしました。
こういう特別な場所を持っていること、それもまた人生の豊かさと言えるかもしれません。皆さんのふるさとのお山は、どのお山ですか?
- 何でもなくて天国な日常
- / trackback:0
- / comment:0
- [ edit ]