魔法のテーブル
親切な人たちが掃いて捨てるほどいる国ですから、嬉しい親切や有り難い親切はしょっちゅうでも、最近その親切の度合いが桁違いな体験を時々します。
前のブログのお役所のサポートにも感動しましたが、11月に京都に行った際お世話になったホテルのサービスは、オーバーでなく度肝を抜かれました。
辛い系の香辛料や小麦が入った調味料もダメ、お茶やコーヒーも全滅、林檎由来のペクチンが入ったジャムを少し食べただけでも具合が悪くなる人で、NG食材がここまで色々あると先方も困るだろうと、ホテル滞在の際は必ず事前に打ち合わせをします。
なぜかこの時は、メールでのやり取りで、数年前に突然発症して以来外食が困難になったことを書いたところが、それはご不自由でしょうと心のこもった返信がありました。
メニューも全て決めてしまえば後は安心で、きちんとしたホテルでは自宅同様、問題があったことがありません。
東京の某外資系ホテルでは、食器類まで別に洗ってくださったそうで、重症ではないのでショックなどはおきません、と伝えておいたのですが、本当に頭が下がりました。
美味しいご馳走が安心して食べられる、それだけでお食事の不自由な方にとっては極楽ですが、そのためにあれこれ面倒なことをしていただかなくてはならず、いつも申し訳なく思うようです。
京都行きもきっちり前準備ができたので、以前のようにカフェ巡りはできませんが、久しぶりの外食=ホテルでの食事を楽しみに出かけました。
両親を見送った後の怒涛の大仕事が終わったお祝いにと張り込んだお高いホテルで、京都らしい眺めの美しい部屋で満足していると、それがやってきました。
ウェルカムフルーツからして違うわあ、と呑気に構えていたところが、夕食はとんでもないことになりました。
メールのやり取りからお世話をしてくださった担当の方が、翌日の朝食まで全て面倒を見てくださったのですが、この方がキッチンの各所に根回しをしてくださっただけでなく、あれこれ念の入ったサービスが準備されていました。
外食不可になってしまったとのことでしたので…と、インルームダイニングなのに、レストランよろしく、ワゴンではなく、お部屋のテーブルにレストラン仕様のテーブルクロスがかけられると、ナフキンが飾られた絵皿が置かれ、カトラリーがセットされ、と、まるでレストランにいるようなサービスが始まりました。
翌朝の洋朝食では、以前はラウンジスタッフだったという彼女のアイデアでしょう、アフタヌーンティースタンドにパンなどが美しくセットされた物が運ばれてきました。
まあもう、どぎまぎしてしまって、『小公女』の魔法のテーブルを思い出すようでした。
チェックアウト時に「こちらをお渡しするように言われております」と差し出されたホテルの封筒を見ると、食事の面倒を見ていただいたスタッフのお名前が書かれていました。
帰りにちょっとだけ時間があったので、確実に飲める物があるスタバ、それも京都で一番のお気に入りのスタバで、六角堂を見渡せる席が運良く空いており、そこでゆっくり封筒を開けると、私がテーブルのご馳走を前にして超ご機嫌な写真がカードにしてあり、心のこもったメッセージが添えられていました。
お食事の不自由な方は、あたたかな思いやりと驚くようなサービスに、深く深く癒されたのでした。
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