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フツ―で不思議な楽しい毎日 6次元に定着するための/6次元を定着させるための覚え書き

オカメなハート



恐怖を乗り越える

先日、友人から恐怖を手放したワークの話を聞いて、ラリー・ローゼンバーグのエピソードを思い出しました。

『呼吸による癒し』(井上ウィマラ訳 春秋社刊)これを読んだのは、もう十五年以上前になりますが、今手に取ってもみても素晴らしいエネルギーで、開いただけで世界が変わるようです。

ラリーはヴィパッサナーの長年の修行を経て、社会心理学の大学教授のポストを投げうち、北米ケンブリッジに瞑想センターを設立した筋金入りの瞑想指導者です。

p181

 私たちは恐怖がコントロール不可能であることを理解します。私たちは恐怖をコントロールしているかのごとくに生きていますし、恐怖を完全に無視できているかのように生きています。しかし私たちにできるのは、巧みに恐怖と出会うことなのです。

彼が瞑想経験を十分に積んだある日、ドアの外で雪をブーツから払いおとすためのドンドンと床を踏み鳴らす音を聞いた瞬間、なぜか、ナチの親衛隊が自分を捕まえに来たという妄想の虜になり、激しい恐怖を感じ始めたそうです。

彼はナチス台頭と同時代に合衆国に生まれた少年であり、直接の接点はありませんでしたが、ホロコーストに多大な興味を持っていました。

(読みやすくするために、引用中の段落ごとに空白を入れさせていただきました)

pp182-184

 その時点で私は何年もの瞑想経験があり、かなりのサマーディに入れるようになっていました。ある意味では、もし私に準備が整っていなければそれほどまでの恐怖がやって来ることはなかったでしょう。心の片隅で私は、実際は自分はバリーにいて何もかも大丈夫だと知っていました。しかし私の大部分は、極度の痛みの中で大きな危険にさらされていると信じていました。

 私は全ての注意をそのイメージと身体的感情的な痛みへ向けようと試みました。しばらくの間は気をつけていますが、次の瞬間にはつい恐怖に囚われてしまいます。そうなった時は、呼吸を使ってその瞬間に戻ろうとします(私は強調したいのですが、経験の浅い段階でも完全に有効な修行は可能です。修行を積み重ねて完成された気付きがなければ困難な心の状態は扱えない、ということはありません)。このプロセスがどれくらい続いたかはわかりません。三十分だったかもしれませんし、一時間、あるいは一時間半だったかもしれません。

 吐き気がしてきた時、私は最初それに気づきませんでした。私は反射的にブッドーという言葉を繰り返し呟き、マントラのようにその言葉を呼吸に合わせて唱えている間は吐き気がなくなります。しかし唱えるのをやめると吐き気が戻ってきます。

 最後には恐怖に対して揺るぎなく注意を向けることができるようになりました。自分のとらわれから逃げ出そうとしたりそれに耽ってしまうことがなくなりました。恐れのエネルギーと完全に親しくなり、自意識的な観察者が分離してしまうこともなく、恐れを完全に観察することができました。その自覚の光のもとでは吐き気は消え去っていきました。吐き気は全く恐怖の作用だったように思えました。そのような長い時間が続いた後で、これもまたどれくらい長かったのかわかりませんが、すべてが崩れ去りました。恐ろしいイメージは消滅しました。長いこと泣いた後に深い安らかな感じがやってきました。

 その日を境にすっかり様子が変わってしまいました。私が以前に抱いていた興味は心理療法家たちが対抗恐怖(counterphobic)と呼んでいるものであることが明確になりました。私は心の深いところに埋め込まれた恐怖からホロコーストに関する知的な関心を持つようになっていたのです。IMSでのあの午後以来、ナチに対する強迫的な関心はなくなってしまいました。そして私の人生にはさらに大きな安らぎが訪れました。

ラリーが感じた吐き気、それは対象に対する烈しい拒絶感を肉体が表現したものだと考えられます。

抵抗感や普通の拒絶反応程度では吐き気を感じることは少ないので、彼の恐怖に対する拒絶感はかなり強いものだったに違いありません。

吐き気を催すほどの対象に、静かに向き合うのは簡単なことではありません。それでも、恐怖のような重くて深い感情を癒すには、おそらくこの方法しかないでしょう。

半跏趺坐で自身の恐怖に直面した友人は、三度も前に倒れて、その度に態勢を立て直して向き合い続けましたが、やがてその恐怖は静かに消えていったそうです。

苦しみや辛いエネルギーを拒絶せずに、忍耐して完全に受け入れること、そうやって愛されることによってしか、強い痛みや苦しみは納得してくれないのかもしれません。

友人はワークの後、以前はパニックや恐怖感で心のバランスを失なったのと同じ状況になっても、そのようなことは無くなったそうです。

本当に見事なワークで、話を聞きながら、友人の勇気とその結果に心の底から感動を覚えました。

私たちは、心や感情をないがしろにしていることに気づきません。むしろ、「そんなのただの気のせいでしょ」と軽んじるようにと、教え込まれてきたかもしれません。

でも、それではうまくゆかないことを、みんなどこかで知っているでしょう?

心や感情を尊び、世話をすること、それはとても大切な仕事だと思っています。

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プロフィール

 L

Author: L
メインのキャラクターは、瞑想・哲学・隠遁系と言われているシリウスB。

現実界では、東京大学大学院(人文科学研究科)修了後、都内の大学にて十年間教壇に立った後退職。
縁あって、タイのチェンマイでエネルギーリーディングとセルフヒーリング / エネルギーワークを学び、スピリチュアルカウンセリングを始めて今に至っています。

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